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中学校の教科書に掲載されたジュールさんの逸話について

平成12年5月11日 鹿児島20期&東京学生寮14期 嶋田道也


 4月18日に、神奈川県相模原市立鵜野森中学校の生徒さん達から次のようなファ ックスをいただきました。

 はじめまして、僕達は、神奈川県にある鵜野森中学校の三年生です。今、僕達はラ ・サール・ホームがモデルになった「握手」という話を勉強しています。この話を読 んで深く感動しました。しかし、教科書を読んでいるうちにわからないことがでてき ました。それは、ブラザー・サルト(ルロイ修道士)のことです。サルトさんはラ・ サール・ホームでどのようなご活躍をされたのですか?どんなささいなことでもかま いません。何か、教えて下さい。お願いします。お返事まってます。

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ブラザー・サルトと中学生が言っているのは、ラ・サール・ネットに伝記が掲載され ているBro. Jules Belangerのことです。光村図書の国語の教科書は、65%のシェア を持っており、同社が出版した三年生の国語の教科書に井上ひさしさんが執筆された 「握手」が掲載されている、とのことです。ラ・サール会のブラザーが、井上ひさし さんの著作を通じて日本全国の65%の中学生に語りかけている、ということになりま す。

同社のリンク集 には、ラ・サール・ネットに掲載されているJulesさんの伝記のことが紹介されてお り、リンクが張られています。小生に手紙を書いてくれた中学生は、きっとこのリン ク集からラ・サール・ネットのページと小生の連絡先を見つけたのでしょう。中学生 には、文集を10部郵送致しました。中学三年生のお子様をお持ちの方、お子様の国語 の教科書が光村図書でしたら、読んでみて下さい。なお、同じ話が井上ひさしの短編 集「ナイン」講談社文庫 419円(税別)の最後に掲載されています。それから、”本 の運命”井上ひさし著 文芸春秋 1000円の97ページには、若かりし頃の美男子ジュ ールさんの写真がのっています。

 鵜野森中学校に、文集と一緒に送った手紙を転載します。

鵜野森中学校3年2組の皆様、  ファックスで「握手」のページを送ってくださいまして有り難うございました。教 科書を手に入れるのは大変なので、とても助かりました。私も読んで感動いたしまし た。送ってくださったページは、ジュールさんの同僚のラ・サール会修道士の先生方 にも送りました。ラ・サールの先生方も私もジュールさんの話が教科書に掲載されて いることは知りませんでした。ジュールさんの生涯の数々のエピソードは心を動かす ものがありますが、左手の指の話は初めて知りました。もう二十数年前のことです が、ジュールさんの指が変形していることに気づいたことがあります。しかしそうい うことをお聞きするのは失礼と思い聞きませんでした。日本軍からそういう残酷な仕 打ちをされていたのですね。ジュールさんは戦争中に他にもずいぶん辛い思いをされ ていましたが、学生だった私たちにはそういう話はなさらず、昔あったことや最近あ ったことで面白かったこと、楽しかったことを、いかにも愉快そうに話していまし た。(註:最近わかったことですが、戦時中日本軍に強制収容されていた修道士達 は、戦後進駐軍から呼び出され、収容中どのような迫害があったか証言を求められた そうです。真実を話すと、元日本兵士が重罰にあうことを恐れた修道士達は、迫害に ついては否認したそうです。)

 井上ひさしさんが書いたもので、ジュールさんが登場するものに「モッキンポット 師の後始末」という小説があるようです(私はまだ読んでいません)。修道士の先生 方は偽名で登場するのですが、どれがジュールさんか、すぐわかるそうです。ラ・サ ールの先生方に、ジュールさんのエピソードで何か他に読み物になっているものはな いかお聞きしたのですが、井上ひさしさんの書いた小説と、「伝記」以外はないよう です。

 「伝記」には入っていないエピソードで私が忘れられないものに、次の話がありま す。ジュールさんが仙台の児童養護施設の園長だった頃、失火で施設の建物が全焼し たことがあります。火事の翌朝早く、途方に暮れていたジュールさんのもとに、近所 の小さい女の子がやってきて、「このお金を使って下さい」と五円玉を差し出しまし た。ジュールさんは感激して泣きくずれたそうです。

 ジュールさんのことが中学生の教科書に掲載されているということ、皆さんからジ ュールさんのことで問い合わせがあったということを、ジュールさんが晩年舎監をし ていた東京ラ・サール学生寮のOB達にも知らせましたところ、大変な反響を呼びまし た。OBからの手紙を一部転載します。一部英語で書かれていますが、中学三年生の皆 さんだったら難なく読めると思います。

---------- 以下 引用 ---------

嶋田先輩から送っていただいた「中学生からの一通のファックス」をみて勝手に考え ました.光村図書の国語教科書のシェアは65%と国内最大のようです.とすると日本 の子供の過半数はしばらくの間ベランジェさんをモデルにした物語をよむわけで,こ れは,ベランジェさんが井上ひさし氏の作品をとおして多くの子供たちに語りかけて いることに相違ない.そして,今ちょうどその教材を使った授業が行われている...

「握手」に感動した中学生たちからの一通のファックスによって,私たち寮の卒業生 はサルト・ベランジェが教科書の中で多くの子供たちに語りかけていることを知りま した.そして,没後20年を経た今もここに生きていることをあらためて実感していま す.

目頭が熱くなるようなメッセージをありがとうございます。 是非、教科書の件分かりましたらご教示下さい。

ベラさんは教科書にも載っているのですか。すごいですね。 是非読んでみたいです。 息子(今年から中学2年)にも読ませたいです。 結果わかったら是非ご教示下さい。

ベランジェのことが教科書に出ている!! すばらしいことです。 ぜひ私も見てみたいので、教科書の出版会社などがわかりましたら教えて下さい。 きっと鵜野森中学の生徒も早速の対応で喜んでいることと思います。また、その先生も ご理解のある方と思います。これからも鵜野森中学で文集が活用されればどんなに ベランジェもよろこばれるかと思います。

今朝はすばらしいメールを見まして、感動し目頭が熱くなりました。 ジュウルさんが今もしっかりと根ずいているんだなとおもいます。まさに肉体は滅ん でも、魂は永遠に生きているしるしだと実感しました。中学に先日作ったジュールさ んの文集を送ったらどうですか。   本の題名は今思い出せませんが、井上ひさしさんの本の虫となったことが書かれてい る本の中に、光が丘天使園、ジュールさんの写真等がでています。東京に戻ったら書 名を調べてきます。

さて、 > サンケイ新聞に掲載された上野精養軒の記事(98年8月25日夕刊より)を読み ましたが、 「上野精養軒をバックに記念写真を撮る中学生が目立って増えてきたのが昨年秋ご ろ。不思議に思った中村支配人が玄関前でカメラを構えていた中学生に尋ねてみる と、学校で使っている教科書にこの店が登場するのだという。  教科書のみならず精養軒は明治の文豪たちの作品にもしばしば登場している。 ・・・中略(夏目漱石の「三四郎」の記述等)・・・・  さて、中村支配人が手をつくして取り寄せた、光村図書の国語3の教科書に掲載さ れていたのは井上ひさしの「握手」という一編。冒頭で「上野公園に古くからある西 洋料理店」として紹介されている。上野精養軒で、親を失い修道士に育てられた 「私」ががんで変わり果てた神父と再会するシーン。プレーン・オムレツの味をほめ ながら天国について語る神父が美しく描かれている。」 知らないことでしたが、我々が文集を作っていた頃、既にベラさんは日本全体に影響 を与えていた(やや表現が大袈裟かな・・)ということですね。井上ひさしさんの力 が大きいことは言うまでもありませんが、ベラさん彼自身(及び本当に心のきれいな 修道士の方達)の人生は、本人がいなくなっても どこかで生き続けるということを また強く感じました。

I cannot believe that 20 years has passed already since we lost Bro. Jules. He was always friendly, warm, kind, cheerful but very determined person. I believe that he was a messenger from heaven. He has been still living deep in our heart and giving us a message what to do to our fellow neighbours time to time. Thank you for your good news. It is very much appreciated.

ベランジェを知る人達によって彼の記憶が語り継がれ、今なお感動の 輪が広がり続けていることが、何よりもすばらしいことだと思います。

------------ 引用 おわり ---------

「ジュール・ベランジェさんの思い出」という文集を十部同封いたします。これは、 「伝記」に、東京ラ・サール学生寮OBが書いたジュールさんのエピソードを加えたも のです。みなさん全員に差し上げることができるとよかったのですが、そうもいきま せんので、次のようにして下さい。手紙を送って下さった3人の生徒さんと担任の先 生には差し上げます。あとの6冊は図書館に寄贈しますので、ほかの皆さんは借り出 して読んで下さい。もしよかったらご感想を送ってください。

 最後に、連絡して下さり、本当にありがとうございました。

平成12年4月20日 嶋田道也

------------ 手紙及び報告 おわり --------

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